今回の撮影は千葉市美術館で行いました。設計者の思い描いた空間、表現者である作家さんとその手によって生み出された作品、そして撮影者である自分自身。1927年に建てられたという歴史深い建物に包まれながら、表現者と真正面から対峙する感覚は言葉では言い尽くせないものでした。

撮り手の意志の介在がこの場に在ることを慎重に確かめながらレリーズを切ると、ストロボの閃光によってピンと張り詰めた空気がわずかに震え、それを五感が受け取る瞬間に写真の持つ記録性を強く意識させられるのです。僕にはそれがとても心地良く感じられたのでした。