Layer(Exhibition2018)
アニメ、漫画、ゲーム。それらとは全く縁のない生活を送ってきた。そんな僕が、ふとしたきっかけから「コスプレイヤー」と呼ばれる若者たちと出会い、撮影者として関わっていくことになった。
彼らは手を動かすことをいとわない。衣装をはじめ小道具などの殆どが手作りで、更には鍛錬によって自らの体型ですら作り上げてしまう。自分自身という素材に「レイヤー」を重ねるようにして二次元の世界観を三次元に立体化する、それが彼らの表現方法だと知った。
僕が依頼を受けたのは写真作品の撮影だった。つまり、原作通りに三次元に再現されたアニメや漫画のワンシーンの撮影であったのだけれど、僕の中では「コスプレイヤー」である「彼らそのもの」への興味が大きくなり、彼らの作品制作の合間を縫って「その肖像」を撮影するようになった。
ハレの日。大抵の場合、彼らは待ち合わせ場所に大きな荷物を伴って現れる。当日の表現の材料(自分自身を含む)とアイデアを抱えたその姿こそが「コスプレイヤー」としての個性であると僕の目には映った。
日本発信の文化として世界から愛され、時にはオリンピックのアイコンとしても輝くアニメ・マンガ文化。そしてその中から生まれ、サブカルチャーの枠を超え成熟していくコスプレという新たな表現方法。
自らの手を動かし、物作りをすることによって完成される彼らの表現に、この国に時代を超えて受け継がれてきた「日本人らしさ」のようなものを僕は彼らに強く感じている。
若き表現者たちの肖像をとらえました。