掲載情報 月刊誌「カメラマン」2月号
月刊誌「カメラマン」2月号(本日発売)に掲載して頂きました。
長寿企画「カメラマン最前線」インタビューを含めた7ページの特集記事となります。
御高閲のほど、よろしくお願い申し上げます。
本記事掲載にあたり、ご尽力を頂いた関係各位の皆さまに心より御礼申し上げます。
総国
人生はきっと、今の自分が想像しているよりも遥かに短いのだろう。
なんの縁もゆかりもない異国や見知らぬ土地に行く前に、自分を生かしてくれた土地のことを学んでから死んでいこう、いつの頃からかそう考えるようになりました。勿論、全てを知り尽くせるなどと横柄なことは考えていません。せめて可能な限り見聞きし、歩き回りたいと僕は思ったのです。
かつて総国と呼ばれた房総半島の歴史は古く、地名の所以を調べればいとも容易く日本神話に辿り着いてしまう。好奇心がもたらす探究心と衝動のままに、きっと終わることがないであろう旅を続けています。

どの世界にもプロがいる
少し前になりますが、コスプレ衣装、小道具などの制作で有名な相澤造形工房様に取材に伺いました。
代表の黒田氏が制作する様々な造形物の中で特に目を惹かれたのは、とてもコンパクトにまとまったヘッドパーツたちでした。標準的な成人男性の頭部よりも一回りほど小さいのがすぐに見て取れ、更には驚くほど軽量。伸縮性のある素材、立体感やテクスチャを増すのに適した素材、様々な素材を組み合わせてそれらは構成されていました。
「コスチュームを着た際、人間が自分の身体の一部として感覚的に認識出来るのはせいぜい皮膚から数センチ程度。事故を防ぐためになるべくコンパクトにしないとならない。そして視界の確保は一番大切。どんなにデザインがよかろうが、安全に配慮をしていない衣装の制作は絶対にしないし、受けない」長年アクションスーツアクターとしても活躍をされている黒田氏だからこその言葉が強く印象に残りました。造形物、そして地元に対する愛を熱く語る氏の思いに触れ、どの世界にもプロフェッショナルがいるのだな、僕はそう感じたのでした。若き表現者たちを撮影した写真は「layer」としてギャラリーに纏めています。
若き表現者たち 2
彼らの世界はいつも驚きに満ちていている。はじめて彼らの作品作りに参加をした際、僕は大きな衝撃を受けました。少々大袈裟に聞こえるかもしれませんが、これはただ事ではないぞ、と。「オタク」や「趣味」といった言葉では到底片付けられない、片付けてはならない、そんな風に感じたことを今でも覚えています。
ないものは作る、あるものでも作る。小物だろうが大道具だろうが、お裁縫から金型造形までなんでもござれ。挙げ句の果てには自分自身の身体さえも鍛錬によって作り上げてしまう。そんな手を動かし物作りをすることによって成立する彼らの表現に、この国に伝わる「日本人らしさ」のようなものを僕は強く感じたのでした。若き表現者たちを撮影した写真は「layer」としてギャラリーに纏めています。
若き表現者たち
僕自身はアニメやマンガとはまるで無縁な人間です。もう四年ほど前になるでしょうか、本当にふとしたきっかけからコスプレイヤーと呼ばれる彼らと出会い、その後は撮影者として関わっていくことになりました。はじめは少々の戸惑い(お恥ずかしい話ですが、なにせアニメやマンガを知らぬ僕には彼らが何を表現しようとしているのかが全く分からなかったのです)もありましたが、すぐに彼らの直向な情熱に触れ共感し、現在に至るまで彼らの取材を続けています。
この次代の表現をずっと見ていたい、そう思わせる力強い魅力が彼らの表現にはあふれています。彼らの真っ直ぐな眼差しを見ていると、この若者たちはいったいどこまでいってしまうのだろう、走り続ける彼らの行く先を可能な限り見届けたい、そういった思いを僕は強く抱くのでした。若き表現者たちを撮影した写真は「layer」としてギャラリーに纏めています。