サイン

引き続き、美術家の風見佐知子さんを撮影させていただいています。

撮影前、波と戯れるように舞う揚羽蝶が目にとまりました。近寄ろうとすると少し距離を置くのだけれど、何故だかそれは飛び去ろうとはしませんでした。まるで此方の様子を窺っているかのように。

偶然を装い常世に現れる、ともすれば見過ごしてしまいそうな些細な兆候たち。しかし、撮影者がその断片を抱いたまま撮影に臨めば、それらは当然のように画面に写り込んでくる。

写真を撮るということは、この世界に散りばめられた自分にしか見えないサインを拾い集めていく行為なのだな、僕はあらためてそう感じたのでした。

 

2018-06-22 | Posted in blog, worksNo Comments » 

美術家の風見佐知子さんを撮影させていただきました

今回の撮影は千葉市美術館で行いました。設計者の思い描いた空間、表現者である作家さんとその手によって生み出された作品、そして撮影者である自分自身。1927年に建てられたという歴史深い建物に包まれながら、表現者と真正面から対峙する感覚は言葉では言い尽くせないものでした。

撮り手の意志の介在がこの場に在ることを慎重に確かめながらレリーズを切ると、ストロボの閃光によってピンと張り詰めた空気がわずかに震え、それを五感が受け取る瞬間に写真の持つ記録性を強く意識させられるのです。僕にはそれがとても心地良く感じられたのでした。

 

2018-05-17 | Posted in blog, works, その他No Comments »